暖冬少雨

暖冬少雨
気象が制御できると考えるのは人間の傲慢であろう。科学だとか予報だとか言って気候に立ち向かえると思っている人は近年少なくないようである。自然に従順に生きるのが当たり前の日本に生まれてよかったと思う。最近は火星の大気組成を変えることまで大真面目に語られるようになっている。

それにしても近ごろの異常気象は異常ではないかという気がする。三年前の冬は50年ぶりの厳寒だった。昼の温度が零度以下の冬日が6週間以上続いた。何度もマイナス25度に下がった。街も家も車も骨の中まで凍りついた気分だった。雪は60センチ以上あったから大地は感じたほど寒くはないと思ったが、気休めだった。とにかく寒かった。

昨年の冬は反対に暖かかった。暖房用の薪が減らなかった。本当に寒い日は五日もあっただろうか。楽な冬で、過ごしやすいだけで笑顔になる。気になったのは雪が数回、5センチほどしか降らなかったこと。真冬に地肌が見えるなんて初めてだった。50年ぶりの暖冬と報道された。除雪を仕事にする人は当てが外れたようであった。それより少雪少雨は自然によからぬ影響を与えるのではないだろうか。喜びも半ばであった。

毎年春には畑が一面タンポポで覆われるのだが、今年の春はまだら模様だった。リンゴの花もまだらで結実もまばらだった。そして食べ頃になってもまともなリンゴは一個も獲れなかった。水不足は栄養不足でもあるようだ。

夏は暑すぎると冷房機をかけ、冬は寒すぎると暖房に必死になる。暑さにも寒さにも不満を持つのが人情だ。しかし実は冬が寒くなかったり夏が暑くなかったりすればその方が大問題ではないだろうか。快適を求めて地球規模でダムを作ったり見渡す限り灌漑農場をこしらえたりするのは無理があるようだ。地下水も無尽蔵ではないし、森林も地下資源も最適な利用方法を我々は知らない。自然の摂理を尊重する知恵を我々は得る必要がある。

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