論壇時評(1) 03/10/2011
現在(2019年一月)朝日新聞は捏造反日新聞とバレてしまいその正体も白日のもとにさらされている。しかし二十年前には購読が社会的な誇りだった。隔世の感がある。朝日新聞と格闘した文章を参考のために掲載したい。
有名な天声人語については、美文記者が担当すると担当者自身が書いている。評判は良かったはずだが、印象に残る文章を読んだ記憶がない。美文のはずなのになぜ美しくないのか、自分の感性が劣っているのだろうと考えていた。そのうち記者がどんな本を読んで書いているかわかるようになった。ネタバレしたらこちらの興味も失せた。
朝日で一番好きな記事は論壇時評だった。論壇時評は月一回の掲載で筆者が二年ごとに交代する。著名な評論家や大学教授らが前月の論壇における論文を読んで要点を知らせる体裁になっていた。世界全体の動きを手っ取り早く信頼できる頭脳の持ち主がまとめてくれるありがたい読み物だった。食い入るように読んだ。
「正論」九月号 2010 に竹内洋氏の「続 革新幻想の戦後史」が掲載された。そのなかに「朝日新聞 論壇時評の不思議」と見出しがあり、論壇時評に言及される雑誌の頻度が示されていた。(243ページ)1981年一月から2009年二月までの言及頻度を調べたもので、「世界」が460回、20.2%だった。以下、中央公論、エコノミスト、文藝春秋、朝日ジャーナルとあって、それぞれ 15%, 9%, 6%, 4%。あとは VOICE、諸君が 3.5% ずつ、論座が 3.2%、 正論は 1.5 % だった。
不思議だったのは「世界」の頻度の突出であった。雑誌の発行部数の表もあるのだが、「世界」は 1955 年の15 位が最高で順位を下げ続け、1986 年以後はランク外、50 位以下に落ちてしまった。そんな雑誌がダントツの 20% も論壇時評に言及される。「世界」は岩波書店が出している共産主義宣伝の雑誌である。マルクス思想のプロパガンダ雑誌が異常に持ち上げられる。本当は赤旗を引用したいけれどそれでは露骨すぎるので「世界」が持ち出されたということかもしれない。
三年ほど前の統計では、日本の雑誌で一番売れるのは文藝春秋で、毎月 75 万部くらいだった。綿矢りさが芥川賞を取った時は事件になって百万部を超えた。次は正論と諸君で 9 万部台。中央公論と Voice が 7 万部強。論座が 2 万部くらいだった。文藝春秋はもともと文芸誌だから論壇誌とはいいがたいが、部数を勘案すると、諸君、正論と並んで三代誌と言える。正論の言及頻度は 1.5% に過ぎない。諸君も 3.5%、この偏りは何を意味するのか。
世界で一番有名な週刊誌はアメリカの「タイム」であろう。「タイム」は約 9 万部が発行されている。最近はページ数が激減している。人口割りにすると、正論の 9 万部は、日本人が読書好きで情報を吸収しようとする好奇心が強いのがわかる。ちなみにアメリカで一番売れているのは日曜大工や料理の雑誌だという。
朝日新聞を読み始めたのは小学生の時、家には他に読み物がなかった。また漢字を覚えるのに好都合だった。文字をあらかた覚えたところで朝日新聞綱領を読んで感激した。そこには不偏不党、中立公正にして真実を報道すると書いてあった。今でも同じような綱領が掲げられてあると思う。それで朝日新聞を読めば真実を知ることができると何十年も思っていた。中立公正、そうこなくっちゃ。不偏不党、どこにも偏らない他におもねることのない識見。理想的な綱領を本気で信じていた。
ところが何年たっても有益な記事に出会わない。ある年、功利主義者になってやると言い聞かせて隅々まで読んだことがある。一年続けたが役に立つ記事や言葉は一言隻句もなかった。失望したけれど、個人的な資質の欠如だろうと思って自分の至らなさのせいにした。新聞の奥深さを理解できない自分はバカだと思った。失望感と、ときには頭痛を覚えながらさらに十年ほど読み続けた、
新聞の内容が「赤旗」ならばこの個人的な失望経験の意味が理解できる。読者は朝日新聞を読んでいるつもりだが、内容は赤旗だった。頭痛を覚えたのは読みたくもない赤旗を読んでいたからだ。赤旗は共産主義を宣伝するが、共産主義は崩壊した。ソ連の誕生と消滅の七十年間に建設創造は何もなかった。無益有害と証明された思想を宣伝しているのが赤旗だが、朝日新聞も同じ思想を喧伝していた。「世界」の言及頻度が多かったのも納得だ。
沖縄の米軍基地反対者が 80% と書いてあるが、インチキに決まっている。直接間接に基地のおかげで生活している人を数えただけで 20% 以下であるはずはない。米軍撤収となったら彼らの生活はどうなるのか。真面目な読者は朝刊を開いてあれっとか、えっとか、これはっと驚くところから一日が始まる。朝日には世論調査室なるものがあるが、読者の心理を調査室の担当者は見抜いているであろう。読者は心を見抜かれていると知らずに読んでいる。
「世界」が 20% の頻度で言及されるのは明らかな偏向報道である。不偏不党の看板は嘘だった。「赤旗」だったとの証拠は具体的な数字で示された。それまでは朝日を読むと頭が悪くなるよ、貧乏になるよと言ったのだが、個人的な感想だった。しかし赤旗を読めばそのまま頭が悪くなり貧乏になる。共産国はすべて貧乏になって破綻した。
偏向報道といえば櫻井よしこ女史の名前を朝日紙上では全然見なかった。購読をやめてから他の雑誌で知ったが、女史は正論を堂々と主張し、日本国と日本人のために働いておられる。女史の文章に接するたびに勇気付けられることが多い。総理大臣になってほしいという人もいる。そんな人は朝日には毛嫌いされているようだ。