天皇の祈り(2) 05/20/2011
四月末に旧友からメールが来た。
「なぜ被災地で略奪や暴動が起こらないの。略奪は災害につきものよ。保険金は略奪を想定してかけられているの。スーパーでも船会社でも紛失、盗難、略奪の時は損害賠償として支払いがある。火災保険も同じ仕組みなの。ハリケーンや洪水の時は略奪してくれる方が作業が捗るじゃない。だから警官が品物を持っていくのは人助けの面もあるのよ。資本主義社会では保険会社が一番よく機能していると言えるわね。略奪が終わるのは取る物がなくなった時なの。
東日本大震災の時はみんな救援物資を並んで待っている。水まで譲り合って助け合う。日本人が平穏な理由を知りたい。」
「日本には天皇がいるからだよ。」
「ほんと?美智子皇后が訪米した時見たことあるけど品の良い女性としか思わなかった。天皇はどのようにして国民とつながるのかしら。」
「天皇のおかげで日本人はお互いに同じ家族の仲間だと感じる。家族同士だから隣人の状況を思いやり助け合おうとする。
美智子皇后は宝だよ。皇后も亡くなる時が来る、その時は世界が泣くよ。皇后が輝きすぎて影が薄かったけれど、三月十六日のメッセージで今上天皇も偉大な天皇という名声が確立された。本人には名声は必要ないけどね。」
阪神淡路大地震の時も同じ質問を受けたが、暴動略奪が起きないのは日本人が元気がないからだと答えた。あの時と今と認識の何が変わったのか。当時は朝日新聞を読んでいたから日本と日本人が理解できなかった。今は多方面から勉強したおかげで天皇存在の重みがわかるようになった。
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2019年五月一日、令和という新しい御代になった。日本国憲法と皇室典範に則れば次の皇位継承者は秋篠宮文仁親王殿下、その次は悠仁親王殿下と決まっている。その次は悠仁親王殿下が男子を得られれば問題はない。かくして神武天皇直系の万世一系の皇統は継承されていく。
ところがご存命の文仁親王殿下と悠仁親王殿下のお名前を安倍首相の口から未だ聞くことはない。皇位継承権はとか慎重な議論を踏まえてとか国民のコンセンサスとか、問題先送りの姿勢が見え見えである。なぜか二千年以上にわたる皇室の歴史になかった女性宮家を創設する構想が語られる。巷では愛子天皇待望論で騒ぎ始める。舞台裏で何かが画策されている気配がある。
なぜ安倍晋三が問題になるかといえば、彼は「日本を取り戻す」を公約にしてきたからだ。日本を取り戻す根幹は二千年以上にわたって日本を知らしめられてきた天皇位継承を確実にすることだ。
敗戦後のマッカーサーをトップにする米軍占領期間中に天皇位を弱体化する意図のもとに皇族の臣籍降下がなされ、十一宮家が民間人にされた。残されたのは昭和天皇の家族だけになった。男子が生まれなければ天皇は居なくなり日本は南洋諸島のような土人国家になるという筋書きだった。その策は成功し、悠仁親王殿下の御生誕まで皇位を継ぐべき男子はお生まれにならなかった。
小泉内閣は無識者会議を開き女性女系天皇の即位を画策した。秋篠宮紀子妃殿下の御懐妊の報を小泉純一郎首相が国会審議中に受けて顔色が変わり、皇位継承問題の審議は中断された。九月には親王御誕生で日本中が沸き立った。一幼児の誕生が日本國と日本人の運命を変える。皇位とはそれほど重要だ。
ところで皇位は親から子への血の繋がりの問題だ。普通の家族でも先祖が五、六代遡れる家は珍しくない。織田の子孫という人に会ったことがある。「じゃ、スケーター織田信成の兄弟ですか?」と聞くと、「ああ、あれは次男(織田信長のこと)の子孫だからね。」と返事が返ってびっくりした。自分は長男信広?の子孫だという。
血筋という場合男系で辿られる。母の血筋はあまり問題にされないのだが、それは外国でも同じで、英国のエリザベス女王はウィンザー朝で、王様がチャールズ皇太子に代わるとマウントバッテン朝になるそうだ。苗字が変わる。
天皇に苗字はないが、それは男系だけで繋ぐということを意味する。万世一系の天皇というとき、誰でも天皇の男親を遡っていくと初代神武天皇にたどり着く。皇統は神武天皇から始まる。
天照大御神と天皇との関係は古事記に神話として語られる。神武天皇の五代前の祖母が天照大御神で、世系第一。神武天皇より前だから天皇ではない。日本列島と日本人を創造したのは伊弉諾尊と伊弉冉尊だから創造神ではない。天照大御神は誰もがお手本としてふり仰ぐべき人格者、女神とされる。五人の子をなされ、最高神だが蚕を飼い、機を織り、神々、人々のために祈り働かれた。稲が食の根本だと知ろしめられた。我々がご飯をいただくのは天照大御神の智慧のおかげだ。米は今も世界最良の食である。
令和元年の皇位継承に関する問題は、悠仁親王殿下の次の世代の後継者を得ることに尽きる。ご結婚は大事だが一家族だけでは心もとない。そこで臣籍降下された旧宮家の中から数家族が皇籍復帰していただくのが明瞭で簡単で多くの国民に納得できる方法だ。皇族の系図は水間政憲氏が完璧に作成された。「ひと目でわかる戦前の昭和天皇と皇室の真実」に詳しい。またブログ水間条項ー国益最前線を訪問されたい。
伊勢神宮のホームページには天照大御神の図像が掲載されている。一度は見よう。実在した方ではないから肖像画ではないが、縄文文明から現代に続く大和文明のイメージが凝縮されている。お伊勢参りもまた意義のある行脚だ。