糖病記(12)

糖病記(12)   01/28/22 

12/13/21 朝、突然咳が始まった。肺に異変が起きたみたいで、肺胞が風船のようにフワフワ動く感触があった。日中は間断なく咳が続く。疲れて眠ろうとするとさらに咳がひどくなった。眠る前が一番苦しい。安静の姿勢が悪いらしい。恐怖で眠れなくなった。バタンキューと倒れるまで動き続けることにした。

食欲がなくなり二週間で十キロ痩せた。身体が衰弱した自覚があった。薪を十五メートル移すとはあはあと息がする。五分間立ち止まって休む。息が収まってまた薪を移す。雪が降らなかったので助かったが、細くなった筋肉で雪かきは苦しい。筋肉の瞬発力はあるのだが、酸素の供給が不十分で次の動作までに休息時間が必要だった。

不思議なほどに熱、悪寒、腹痛、筋肉痛などはなかった。安楽感があったので快癒する希望は失わなかった。四週間、食事とストーブ暖房以外はほとんど寝ていた。五週目に人と対面できるかどうか試そうと外出した。店で話そうとすると咳き込んで声が出せない。買い物できず逃げ帰った。

医者は検査はするがコロナの治療法はないという建前だ。またへんな注射をされるのも怖い。無薬、無医者で自然治癒を待った。八週目、少し胸が重いが、文章を書く気力が回復した。肺と呼吸の重要さを思い知った。 

人の身体は兆を越える細胞でできているが、一つひとつ細胞膜で囲まれて完結している。細胞膜と隣の細胞膜とはペクチンなるタンパク質が糊付けしている。ウイルスや細菌はペクチンを溶かす。ペクチンが溶けると隙間ができてウイルスが侵入し風邪やコロナの症状が出る。

感染経路やテストの陽性か陰性かで大騒ぎしてきたが、あまり意味がなかった。いくら思いだしてもいかに感染したかまったくわからない。それよりも風邪と同じで、全員がウイルスを保持している前提で考えた方が現実的だ。

ウイルスは喉や鼻や肺の入り口に付着している。それらは各々ペクチンを溶かすのだが、数百や数千では被害を与えられない。しかし好条件下ではウイルスが幾何級数的に分裂増殖する。百万単位のウイルスがペクチンを溶かせば多くの細胞膜に穴が開く。問題は爆発的な分裂増殖が起こるかどうかだ。急速な増殖が起こらなければ症状が出ることはない。

人工呼吸器はコロナ治療の最終兵器のように報道された。しかし実際に使用される場面を見たことはなかった。ところが最近動画で使用法が解説された。それによると。

人工呼吸器は小さい管が喉を通して肺まで届く。喉に異物があるときは苦しく咳が出る。人には耐えられない。それで人工呼吸器をつけるときは全身麻酔をかけ、意識がない状態にするという。

コロナの場合、経験から十日ほど管の装着と全身麻酔が必要だ。喉の機械的損傷と麻酔剤の副作用はいかばかりだろうか。

重症と判断されて病院に収容されるとどんな結果になったか想像がつく。治療の恐ろしさ後遺症との戦いという問題もあったのだ。完全回復など望むべくもない。

いかなる意味でも身体に異物を入れることは自然に反する。自然に無いものから自己防衛するのは容易ではない。コロナも無薬、無医者、自然治療が一番よかった。

池田永晋